
何度も通っている道なのに
初めてその存在に気がついたりすることがあります。
人の意識って面白いですよね。
どうして今まで気がつかなかったのでしょう。
気がつくものと
気がつかないもの。
その差はいったいなんなのだろうか。
もう、何百回と通り抜けた
ランブラ・デ・カタルーニャ通り。
その54番地の建物が今回見つけたところです。
最初は窓にとても細かいガラス細工というか
ステンドグラスがハマっていて
素敵だなぁと、上を見上げながら歩いていて
そして、ふと、
真ん中にワンちゃんのモチーフ?を
発見したのです。
えっ、飼い犬をモチーフにするなんて
モデルニスモの建築ではあまり聞いたことも見たこともなかったので
この家のオーナーだった人が大切にした
愛していたワンちゃんなのだろうなと
想像してしまいました。(飼い犬なのか?は私の想像です。)

建物に近寄って、扉の辺りをじっと見ていたら
ここに住んでいる人がちょうど出てきて
「良かったら、中に入って見てもいいよ」と
ドアを開けて、中に入らせてくれたのです。
エントランス部分だけ、何枚か写真を撮りました。
黒と燻んだパステルカラーの
コントラストが効いていて
やわらかいけどクールな階段のデザインが
エレガントで印象的でした。

この建物の名前は『Casa de Dolors Calmカサ・デ・ドロールス・カルム』
建築家はバルセロナの凱旋門の建築デザインもした
Josep Villaseca i Casanovasジョセップ・ヴィリャセカ・イ・カサノヴァ。

凱旋門は見るからにごっつくて
色が全体的に茶色で
垢抜けなくて戦闘的な雰囲気だけれど
Casa de Dolors Calmは
それとは比べ物にならないくらい
優しさが溢れている。
きっと建築家のジョセップさんが
家のオーナーであるドロールスさんのイメージを表現して
このような建築物になったのだろうと想像できるのです。
いったいあの建築物にはめ込まれた装飾の
愛犬の名前はなんだったのだろう。
オーナーだったドロールスさんがワンちゃんをだき抱えた
写真なんかがあれば、見てみたいと思ってしまうほど
やさしい気持ちになれる建物なのです。
いやいや、あれは愛犬?なのだろうか。
もしかしたら全く違うものかもしれない。
それは、今の私にはわからないけれど
この建物を見て
こんな物語が勝手に私の頭の中に宿ってしまったのです。
中に入ってもいいよと言ってくれた住人や
素敵な建物に出会えたこんな偶然に遭遇すると
街歩きはやっぱりやめられないのです。

Casa de Dolors Calmの住所
※この建物があるRambra de Cataluynyaランブラ・デ・カタルーニャ通りには素敵なお店がたくさんあるのでぜひ行って見てください。