映画館で映画を観たのは何年ぶりだろうか。
少なくとも5年間は観ていない。
今の町に引っ越して来たのが5年前で
一度も町にある、この映画館で観たことがなかったのだ。
入り口がとっても暗くて、閉塞感のあるエントランスで
気持ち的に入るのに躊躇う雰囲気があったからかもしれないが
ところがどっこい、入ってみると
館内は、ガウディの時代にタイムスリップしたかのような
素晴らしいモデルニスモ建築で
グレイッシュな薄いピンク色と象牙色の気持ちが落ち着く配色で
豪華な劇場だったのだ。
そして映画が始まった。
あちら側とこちら側、
私はもちろん、日々の些細なことに面白さを感じる平山さん側だ。
世の中は十人十色で、人それぞれの生きやすい場所がある。
それを見つけられたら、それでいいと思うのだ。
生きやすいと思った道でも、良いこともあり、悪いこともある。
そういうものだ。
わからないけれどね。
そうそう、映画の中で流れていた曲がとても良かった。
これまでのヴェム・ヴェンダース映画の選曲は
だいたいどれも好きだ。
この映画を夫と一緒に観てから
我が家ではルー・リードのレコードをずっと聞いている。
夫も私もそれぞれに随分前から聴いていた彼の曲だが
ここ数年ご無沙汰していた。
そして今、映画をきっかけに
再度ルー・リードの音楽にハマってしまって
1週間ほど前に観たあの日から
ずっと頭の中で彼の曲が、流れ流れて止まらない。
かなり影響を受けちゃっているこの頃なのだ。
映画館内の売店横の壁一面に今まで上映した映画のポスターやチラシが貼られていた。