その場所に馴染んでいるお店で


実ははじめて入ったこのお店。
正面の黒板に書かれてあるのだけれど
『des de 1939』 (これはカタルーニャ語で、スペイン語だとdesde)
そう、1939年から営業されているお店なのだ。

なんとなく古そうだなぁと
思いながら入ったのだけれど
85年間もこの界隈の人々が
ここへ出入りしているのかと思うと
なんだか想像しただけで
結構うれしくなってしまう。
と言うのもこのお店はゴシック地区にあり
ピカソが描いた『アヴィニョンの娘たち』の
アヴィニョン通りのすぐ近くだからだ。
もしかして、ピカソやミロもここにいただろうか。
そんなことを妄想しながら
カフェコンレチェを飲む時間が
実に楽しい。最高の時間だ。

お店の人も雰囲気が良くて
「長い歴史があるんですね」とたずねると
笑顔で「そうなのよ、まだ、当時からの家族が経営しているの」と
教えてくれた。
お客さんも身軽な人ばかりで
すぐ近くから歩いてやってきたような人たちだ。
おそらく常連さんばかりが席に座って
新聞を読んだり、会話を弾ませていたりしていた。
なんだかその感じがすごくあたたかくて
この空気感を味わうために
また来たいと思った。

最高に美味しいとか
最高にステキな建物とか
そう言うのではないけれど
とっても心が安心してしまうこの空間が
いい場所だと思ったのだ。

このお店のある通りは
carrer de Cervantes セルバンテス通りだ。
おそらくドンキホーテの作家セルバンテスから取ったのだろう。
そして、このお店の名前が『Cervantes』なのだ。

バルセロナは、どこへ行っても
観光的なお店がほとんどだけれど
普通の住人ががひょっこり通う場所に
足を踏み入れるのもいいよね。

この日食べた『Bikini & Cafe con Leche』はスペシャル価格で
4.5ユーロだった。
Bikiniとは水着のビキニのパンツやブラが三角形の形をしており
食パンを斜め切りすると三角になるところから来ているのだと思う。
トーストしたパンにハム&チーズがはさまったもの。

Bar Restaurant Cervantes
住所 Carrer de Cervantes, 7

kinopiyo
バルセロナ在住。グラフィックデザインをしつつ布で小物なども製作中。 2019年12月に出版したバルセロナのガイドブック『心おどるバルセロナへ 最新版』イカロス出版より発売中。電子書籍もAmazon、kindle、楽天koboなどでお求めいただけます。私が好きなお店の紹介や暮らしについてをお伝えしたいと思っています。